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コラム・風「報道の難しさ」:片山通夫

 先日、ジャーナリスト・ネットで紹介されていた記事「ロシア軍が助けてくれた?(南オセチア自治州)」という記事の中で「毎日新聞モスクワ支局の杉尾記者」の名前が出ていた。筆者は杉尾記者とは顔見知りである。彼が「ロシアのおぜん立てで」南オセチアへ取材に赴いたと知って驚いた。
▲この取材は「日本の記者は毎日新聞だけ」だという。なぜ他社は行かなかったのかは不明だが、いささか釈然としない。多くの日本の新聞社はモスクワに支局を構えている。その誰も、何処もが行かない取材に杉尾記者だけが出かけた。

▲無論、このような戦闘地域からの情報は一方に与する情報がほとんどだ。まして一方の政府お墨付きの取材は色が付いていること間違いなしである。あえて、杉尾記者が南オセチアに赴いた理由は定かではないが、毎日新聞の他の記者がグルジアの首都トリビシで取材活動をしているところから「双方からの取材」を試みたのではないかとも考えられる。

▲それにしても疑問が残る。記事の書き方である。杉尾記者はその記事の中で「「ロシア軍が助けてくれた」と書いた。それは事実だろう。ロシア人を歓迎する人々がいることも事実だから。そして「欧米メディアが伝えきれない現実の一端が見られた」とも書いた。本当にそれだけだったのだろうか。それしか取材させてもらえなかったのではないのか。

▲メディアは政治のプロパガンダに利用される危険がある。杉尾記者のこの記事に関しては少なくともその危険が垣間見られる。ロシア政府は「招待した記者たちの記事」を詳細にチェックしているだろう。そして次のプロパガンダの計画を立て、取材ツアーは今後も頻繁に行われる。何しろ旧ソ連時代から、メディアを使ってのプロパガンダはお家芸だったのだから。

▲筆者も「グルジアからの報告」を電話取材で行っている。その電話相手の報告が事実なのかどうかは今のところチェックしようがない(裏を取れない)というジレンマにさいなまれている。それでもあえてこの稿を書いたのは、自戒の意味を込めてである。
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Author:michio_k
サハリン残留朝鮮人の生活をライフ・ワークに、ビデオ、写真、文章など、あらゆるツールを使って記録しているフォト・ジャーナリスト。