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編集局からの手紙「アイヌの道」:片山通夫
考えることがあって、秋の一日、
国立民族学博物館
(大阪・吹田)に、アイヌ民族に関した展示を見に行きいたく感動した。北海道がまだ「蝦夷地」と呼ばれていた頃、アイヌ民族は、北海道のみならず、樺太(サハリン)、千島にも住みその行動半径はとてつもなく広いことを知った。決して熊や鮭を獲るだけの生活ではなかったのだ。
彼ら、アイヌ民族の生活の営みの中の一つに「山丹交易」と呼ぶ歴史がある。シベリアの東端、アムール川がオホーツクに注ぎ込むあたりに住んでいたウリチ族を主としてニブヒ、オロチ族などのいわゆる山丹人と樺太アイヌ人との交易を指す。この交易が朝貢交易で中国・清朝がシベリアや樺太にまでその勢力を伸ばしていたことを示している。清朝は中国で需要の多いテンの毛皮を得るためこの地域の人々に毛皮貢納の義務を課し、貢納に来た者には、中国製の衣服装身具、鉄製品、食料などを与えた。こうして手に入れた清朝の品々は、山丹人を通じて樺太アイヌから北海道アイヌに伝わり、当時「蝦夷地(の一部)」をその領土としていた松前藩が江戸にまで持ち込んだ。その中に「山丹錦」があり江戸では珍重されたという。
筆者は国立民族学博物館で「山丹錦」で出来た服を見た(写真・2枚とも)。華麗にして豪華なもので、この服がどんな人たちの手を通してわが国にもたらされたのか非常に興味を持ったわけである。文字を持たない民族、アイヌの歴史は記録が残っていないだけに闇に包まれた部分がある。
一方、アイヌ語が語源となるあらゆる地名が、北海道に残っていることも事実である。たとえば札幌なども、サッ・ポロ=かわいた広い場所という意味を持つらしい。他にいくつか挙げてみる。稚内 はワッカ・ナイ=飲み水が豊富だった沢。十勝はトカプ=空が明るい、よく晴れる場所。礼文はレプン=沖を意味する。
徳川幕府による鎖国時代に、山丹交易はいくつもの民族の手によってもたらされ、シベリアそして樺太を通って江戸にまで交易品をもたらしたという「アイヌの道」はとても興味深い。無論、北海道に残るアイヌ語の地名の町や村々を歩き、先住民族であるアイヌ民族が名付けた「アイヌの道」を筆者なりに経験してみたいものである。幕末の
松浦武四郎
には及ぶまいが、彼が書いたような壮大な「ルポルタージュ」を書くという夢を持ちたいものである。
@
2008-11-25
ジャーナリスト・ネットから
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