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コラム「風」サイバー攻撃:片山通夫

 ロシアが南オセチアとアブハジア自治共和国の独立を承認した。欧米諸国は「認められない」と反発、世界のマスコミは「新冷戦」と報じている。このハードでホットなロシアによる対グルジア戦略の報道の陰に見落としてはならないことがある。東西冷戦が終結しておよそ20年、新たな冷戦が世界を覆う。東西冷戦時代はスパイが暗躍してさながら映画や小説そこのけのドラマが演じられた。時代はアナログ時代。スパイカメラも発達した。ところが現在言われている新冷戦時代、それはロシアによるグルジアへのサイバー攻撃だ。
▲サイバー攻撃そのものは目新しいことではない。しかしハード、つまり兵器による攻撃とほとんど同時にサイバー攻撃がなされたことは注目に値する。おそらく史上初めてのことではないかと思える。

▲ロンドンのグルジア大使館は、「南オセチア自治州をめぐる軍事活動と同時に、ロシアの複数の部隊が協調してグルジアのウェブサイトにサイバー攻撃を仕掛けていると非難」していた。8月11日のことである。同大使館広報官は、週末にウェブサイトがアクセス不能になったのはロシアによるサービス拒否(DoS)攻撃のためだと抗議し、その対策として「ウェブトラフィックのリダイレクトを進めている」と述べた。

▲一方、ポーランド大統領のウェブサイトに、ロシア政府が「軍事侵攻」と同時にグルジアのウェブサイトをブロックしたという記述があった模様だ。そして「グルジア大統領の依頼に応じ、ポーランド共和国大統領は、情報配布の場としてポーランド大統領のウェブサイトを提供している」という情報もあった。

▲またロンドンのグルジア大使館の広報官の話のかなり前、つまり、ロシアがグルジアへ軍事進攻を始める前の7月20日にはグルジアに対するサイバー攻撃が行われていたという情報もある。グルジア大統領府をはじめ、外務省、通信社、銀行などのサイトがサーバー停止に追い込まれたというものだ。

▲ロシア政府自身はこのような事実に何も答えていない。しかしロシアには「サーバーマフィアが存在」するという。その名前はロシアン・ビジネス・ネットワーク(RBN)で、彼らは個人情報搾取、児童ポルノ、恐喝などネット上で行われる犯罪をその生業としている。ロシア政府がRBNの活動を支援している証拠はない。しかしその活動を容認している可能性は高い。
▲「パソコンを持っている国民は敵を攻撃する義務がある」と国粋主義者があおればそれこそ無数のコンピューターが一斉にサイバー攻撃を開始する危険がある。今回グルジアのサーバーをクラッシュさせたソフトは「攻撃スプリプト」として出まわっている。誰でも使え、しかも自宅で戦争に参加できる強力な武器だ。

▲攻撃は突然行われる。サーバーを無防備にさらしている場合、簡単にサーバーをクラッシュすることが出来る。戦車や艦船を派遣しなくても、自宅の居間でテレビを見ながら鼻歌交じりで戦争に参加できる時代になった。たとえば政府機関や報道機関、銀行、携帯電話などのネットワークがクラッシュした場合を想像してほしい。国民サービスはその瞬間に停止する。国民生活への被害は甚大だ。まさか戦争という事態は想定していなくとも、地震や台風、水害など、天変地異時に攻撃されたケースも同様の危機が訪れる可能性が高い。
時代はそこまで来ているということである。
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Author:michio_k
サハリン残留朝鮮人の生活をライフ・ワークに、ビデオ、写真、文章など、あらゆるツールを使って記録しているフォト・ジャーナリスト。